昔と現在、建材の比較~瓦の場合~

昔の建材と現在の建材、どちらが丈夫だと思いますか。丈夫にもいろいろ定義がありますから、今回は耐用年数と耐久性に着目します。耐用年数と耐久性についても恐らく、ほとんどの方が「現在のものが丈夫」と答えるでしょう。ちょっと特殊な例ですが、観光名所の仏閣などに使われるチタン瓦は1世紀以上、数百年は持つと言われています。さすがに現代の技術の粋を集めて造られただけありますね。では同じ瓦、仏閣で使われているもので比較してみましょう。日本最古とされる元興寺の極楽坊の瓦はその数十枚が創建当時、600年前後のものとされています。およそ1500年前のものなのです。こうなると、どちらが丈夫か分かりません。

お寺

産業革命以降、科学技術の躍進は進んでいるので、ついつい今のものを過信してしまいがちですが、それまでの過程を忘れていませんか。太古から現在まで建築物にはさまざまな材料が使われてきたはずです。現在のように輸送が発達していませんでしたから、手に入る材料は限られていましたが、その中で取捨選択が行われてきました。必然的に残るものはさまざまなことに強いものですから、現代のものと較べても耐久性が劣るということも少ないのです。